薬剤部紹介

部長ご挨拶

ようこそ「名古屋市立大学医学部附属東部医療センター 薬剤部」ホームページへ

-ホームページ開設に寄せて-

 私たち薬剤部のホームページにお越しいただき、心よりお礼申し上げます。薬剤部長の近藤 勝弘(こんどう まさひろ)です。私は、当院が名古屋市立大学医学部附属病院となり薬剤部に教授制(医学研究科 臨床薬剤学分野)が導入された初代の薬剤部長/教授として、2023年4月に着任しました。これまで私は、薬剤師として名古屋市立大学病院に長年勤務し悪性腫瘍(がん)領域を中心に臨床、研究を行ってきました。臨床業務では腫瘍内科医とのチーム医療のもと、がん薬物療法の難治療例に関する多科からのコンサルトに対応するとともに、薬剤師外来の開設などに携わりました。研究では、がん薬物療法の副作用発現に係るリスク因子の探索や支持療法の個別最適化をテーマとした臨床研究を行っており、「医療現場での成功や失敗から得た実経験」「薬剤師ならではの臨床疑問に根差した着想」を大事にしています。現職に着任後も、当院でがん専門薬剤師外来の新規開設を実現するとともに、複数施設からなる名古屋市立大学病院群の大規模診療データを用いたドライ研究を推進するなど、薬剤部の教職員・薬剤師とともに臨床と研究に邁進しています。

 さらに、「組織は人なり(企業は人なり)」の格言のとおり、未来を担う薬学生教育と薬剤師の育成には特に注力しています。薬剤師が我が国の医療や社会の中で今後より一層求められる存在であるためには、「薬を量る/包む」で終わるのではなく薬物療法の最終アウトカムにまで徹底的にこだわり抜き責任を負う姿勢が不可欠です。すなわち、患者さんやご家族など関係者に直接関わってニーズを把握し、多職種チームの中での積極的かつ建設的な提案によって薬物療法の個別最適化と質向上に貢献する、これこそが薬剤師が生き残る生命線と言えます。また、そのためには地域の医療機関や保険薬局との密な連携も必要です。さらには、自身の経験から臨床疑問を見出し自らそれを解決しようとする問題解決能力も求められます。私たちは、「組織、地域、医療を支え、自身の成長を実感できる臨床研修と多様性ある薬剤師の育成」を目指しています。当ホームページでご紹介する「名古屋市立大学病院群薬剤部共通教育プログラム」は、このような卒後薬剤師教育に関する私たちのビジョンを示すプロダクトの一つです。「薬剤師臨床研修ガイドライン(厚生労働省, 2024年3月)」を踏まえた教育方略と評価基準を導入し、1年目薬剤師の成長を身近で支える先輩薬剤師を配した「メンター制」を基本に10年先を見据えた私達らしい臨床研修を指向しています。

 一方、当院の診療上の特徴に目を向けると、まず第二種感染症指定医療機関として地域の感染症医療をリードする組織と機能を有している点があげられます。また、年間8,000台超の救急車を受け入れるアクティビティの大変高い救命救急センターを備えている点も特徴であり、その機動性は災害派遣医療チーム(DMAT)をはじめとした積極的な災害医療活動にも繋がっています。さらに現在は悪性腫瘍領域の診療に病院をあげて取り組んでおり、「感染症」「救急医療」「悪性腫瘍」が当院の特に注力する診療分野です。薬剤部もこの一翼を担うべくこれらの領域では特に多くの専門・認定薬剤師が活躍しており、同時に専門薬剤師研修施設としての認定も受けています。したがって、私たちはこれらの分野をはじめとする様々な専門・認定薬剤師の資格取得をサポートする人材と環境を備えていると言えます。また、私を含む教職員3名が在籍している組織構成も当薬剤部の特徴の一つです。働きながら大学院に進学し学位取得を目指すことができるよう、教職員が直接指導し一丸となってサポートします。

 以上、当ホームページ開設に寄せて、私たち名市大医学部附属東部医療センター薬剤部の基本的な考え方や特徴、臨床・研究・人材育成における情熱的でこだわりある取り組みについてご紹介しました。少しでも興味を持っていただけた方はぜひ当ホームページをご覧になって下さい。また、私たち薬剤部あるいは名市大大学院医学研究科 臨床薬剤学分野への就職・進学をお考えの方は遠慮なくご相談下さい。心よりお待ちしています。

2024年9月
名古屋市立大学医学部附属東部医療センター
薬剤部長 近藤勝弘

理念・基本方針

名古屋市立大学病院群の強固な連携のもと、安全で質の高い薬物療法を提供するとともに、薬物療法の個別最適化に繋がる研究の推進によって患者さんと全ての関係者の健康と幸福に貢献します。

さらに、高度先進的な薬物療法を提供する高い専門性と倫理観を持った、チーム医療と地域社会で広く活躍できる薬剤師を育成します。多様性を活かした働き方の推進と個人を尊重する文化の醸成によって、誰もが「働き続けたい」と思えるような誇りと愛着を抱くことのできる組織の構築を目指します。

スタッフ紹介

教授・薬剤部長 近藤 勝弘

教授・薬剤部長

近藤 勝弘

専門分野
医療薬学、臨床腫瘍学
研究テーマ
がん薬物療法に伴う副作用管理、薬物療法の個別最適化

リサーチマップ

講師・副薬剤部長 西出 景子

講師・副薬剤部長

西出 景子

専門分野
医療薬学、感染症学、細菌学
研究テーマ
細菌学、感染症学、医工連携

リサーチマップ

助教 和知野 千春

助教

和知野 千春

専門分野
医療薬学、感染症学、薬学教育
研究テーマ
感染症薬物療法、医療ビッグデータ解析、薬学教育

リサーチマップ

業務紹介

薬剤部についての説明
病棟の様子

東部医療センター薬剤部では、すべての病棟に病棟担当薬剤師を配置しています。入院患者さんが薬物治療について十分に理解し安心して治療を受けられるようお薬について説明(服薬指導)や病棟での医薬品適正使用推進を中心とした薬剤管理指導業務を行っています。患者さんが入院された後、薬剤師は入院時初回面談と持参薬の鑑別を行っています。また、ベッドサイドにて患者さんの治療経過や副作用モニタリング等を行い、医療従事者へ薬剤に関する情報提供をすることで、緊密な連携を図ることを心がけています。手術目的で入院予定の患者さんに対しては、入院前の外来受診時に術前に休薬するべき薬剤について確認を行い、担当医師に情報提供を行っています。個々の患者さんに最適で安心かつ安全な医療を行うためには、チーム医療の一員として薬剤師がこれまで以上に積極的に患者の薬物治療に関わることが求められています。われわれ薬剤師は、薬の専門家として、患者さんが安心して治療に取り組めるよう支援していきたいと思っています。
チーム医療のイメージ写真

医師・看護師・管理栄養士などとの多職種チームのなかで積極的かつ建設的な提案を行うことで、薬物療法の個別最適化と質の向上に貢献しています。
参画している主な専門医療チームには、感染管理・抗菌薬適正使用支援チーム、栄養管理サポートチーム、糖尿病教室、認知症ケアチーム、褥瘡対策チーム、呼吸サポートチーム、緩和ケアチーム、術後疼痛管理チームなどがあります。
調剤の様子

調剤とは、医師が作成した処方せんに基づき、そこに示された薬剤の投与量、投与方法、投与期間などが適切であるかを判断し、薬を正確に作って患者さんに交付する一連の行為です。
処方内容に疑義や誤りを認めた場合、医師と協議し改善することによって、薬物療法の安全性と質の向上に貢献しています。
薬品管理の様子

医薬品の購入から使用まで、品質や経済性などを考慮し、医薬品を管理する業務を行っています。具体的には購入管理(在庫管理システムにおける医薬品マスタの登録および保守、各部署からの医薬品の請求の取りまとめ、発注、検収)、在庫管理(棚卸の準備・取りまとめ、日々の理論在庫の把握)を行っています。
医薬品情報のイメージ写真

医薬品をより有効かつ安全に使用して頂くために、適正な使用方法や副作用など、医薬品に関する情報を収集・管理しています。さらに、患者さんや医療従事者からの問い合わせに対応し、収集した情報を利用して、評価・加工して、わかりやすく情報提供しています。また、薬剤供給に関する情報を入手し、医師、製薬メーカー、医薬品卸業者と連携をとって患者さんへの治療に影響が最小限となるよう努めています。さらに、新薬のヒアリングや医薬品(後発医薬品も含む)の評価を行い、病院で取り扱う医薬品の採用、不採用を決める薬事委員会の事務局を務めています。
製剤の様子

製剤では、主に次の2つの業務を行っています。
1つ目はTPN(高カロリー輸液などの栄養剤)や化学療法の無菌調製です。TPNとはTotal Parenteral Nutritionの略で、食事が摂れない患者さんに十分な栄養を注射の形で補給する方法です。主に既製品で対応しづらい疾患のTPNを医師から依頼を受け、無菌室内で無菌的に細心の注意を払って調製しています。また、化学療法に関わる調製では、無菌性と調製者の安全性が担保される安全キャビネットを用いて抗がん薬の調製を行っています。調製の際には投与量や投与間隔のチェックを行い、抗がん薬による治療が安全に正確に行えるように支援を行っています。

2つ目は、院内製剤です。院内製剤とは、市販品では十分な対応ができない場合に病院内で調製するお薬のことです。院内製剤の使用にあたっては、病院内で科学的・倫理的な妥当性を十分に吟味され、審査・承認されたもののみが使用されます。